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食の記憶 豚丼ぱんちょう
登録日時:2009/05/01 14:12
[
豚丼ニュース
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2009年5月1日掲載十勝毎日新聞紙面より
「毎月、仕送りが入ると食べに来てくれた畜大(帯広畜産大学)や勝農(十勝農業学校=現帯広農業高校)の学生さんたちの笑顔を思い出します」
帯広名物として全国的な知名度を誇る豚丼。元祖豚丼「ぱんちょう」(帯広市西1南11)の創業者・阿部秀司さん(故人)の長女幸子さん(76)は、「たまのぜいたく」として庶民に愛されてきた豚丼の歴史を振り返る。
同店は秀司さんと妻うめさん(故人)が1933年に同地で創業。もともとはチキンライスやカレー、カツ丼などをそろえた大衆食堂で、何を食べてもおいしいと評判の店だった。
豚丼は秀司さんが、当時は帯広近郊の多くの農家が飼っていた豚で「本州にはないメニューを作ろう」と考案。人気はあったが、価格がカレーの5倍、ラーメンの倍程度したという。学生はもちろん幸子さん自身も、子供のころにひんぱんに豚丼を食べた記憶はないという。
戦後、日本が豊かになるにつれ豚丼の人気は上昇。同時に、特徴がないと生き残れないと考えた秀司さんが、60年前後に専門店化に踏み切った。秀司さん自身は宣伝に消極的だったが、評判が評判を呼び、マスコミにもたびたび登場。帯広の名物として定着した。幸子さんは「支店を出すこともなく、家族で脇目もふらずに伝統を守り続けたことがよかった」と話す。
今では豚丼は家庭の味としても親しまれている。幸子さんは「簡単に作れると思われるが、シンプルだからこそごまかしが利かない」と元祖の誇りをのぞかせる。新潟産の米、道産豚肉、最高級のしょうゆや砂糖を使い備長炭で焼く。庶民のぜいたくは今も変わらず、ぜいたくな素材に支えられている。
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